ノロウイルスとは? 5分で分かる!なるほどノロウィルス豆知識

ノロウィルスの電子顕微鏡写真

冬が近づくと必ず耳にする「ノロウイルス」、でもノロウイルスがどんなウイルスなのか、どういった症状が出るのかなど詳しいことを知らない方が多いはず。でも知らない人が多いために感染が拡大してしまっているのもこのウイルスの特徴です。ノロウイルスのことを正しく知り、感染を予防しましょう!

という私も実はノロウイルスに対してかつては無知で、子供が学校でもらってきたプリントもさっと目を通すだけで終わっていました。感染経験者でないと分からないのが、ノロウィルスの怖さです。

ノロウイルスとは?

ノロウイルスは1968年、アメリカオハイオ州にある小学校において、集団で起きた感染性胃腸炎の患者の排泄物から見つかった菌が始まりでした。

その後の研究で、非細菌性急性胃腸炎を起こす小型球形ウィルスは2種類あり、そのほとんどがオハイオ州の小学校で発見された菌であることが分かります。

そして「ノロウイルス」と命名されたのは2002年、まだ比較的新しいウイルスなのです。
自分が子供の頃はこんなウイルス聞いたことなかった、なんて大人の方が多いのもごもっともなのです。

どうやって感染するの?

勘違いされている方が多いですが、空気感染はしません。またウイルスは空腸で繁殖するため、咳や唾液からの感染は一般的ではありません。一般的には以下の3通りです。

1.食中毒(食品を通して感染)

  • ノロウイルスに感染した人が調理したものを食べる
  • 牡蠣などのウイルスに汚染された2枚貝を生または加熱不足で食べる
  • 東京都内でも2011年以降岩カキを食べたことが原因で、ノロウイルスに感染した患者が増えています。

    2.接触感染

  • 感染者の触れたドアノブなどを触った手を介し口からウイルスが入る
  • 感染者の排泄物に触れ、充分に手洗いなどがされず口からウイルスが入る
  • 3.飛沫・塵埃感染

  • 感染者の排泄物などが飛び散り口からウイルスが入る
  • 感染者の嘔吐物などが乾燥して舞ったものを吸い込む
  • ノロウイルスの潜伏期間と初期症状

    ノロウイルスは24~48時間の潜伏期間を経て発症するとされています。初期症状は主に突発的な嘔吐を繰り返す・水っぽい下痢・38度くらいの発熱・腹痛です。

    これらの初期症状は人によっても違ってきますが、微熱が出ることが多いため嘔吐や下痢の症状がないと風邪と勘違いする人も少なくありません。通常2~3日で治まり、1週間ほどで感染の心配はなくなります。(2~3週間潜伏していたケースも稀にあります

    ノロウイルスにかかったときの対処方法

    1ノロウイルスの治療法 安静にすること

    ノロウイルスにはこれといった治療法がありません。娘も私も点滴を打って整腸剤と吐き気止めをもらい、あとは安静にして治るのを待つだけでした。ウイルスを出し切ってしまわなければ症状が長引くだけなので、強い下痢止めは逆効果です。

    病院で横たわっていた時はこれがいつまで続くのだろうと思いましたが、娘の場合は夜中から続いた嘔吐も受信した日の午前中には治まり、夕方から食欲も出てきて下痢も数日でよくなりました。

    2ノロウイルス感染時の食事は? 無理に食べない

    ノロウイルスに感染した時は無理に食べる必要はありません。感染の初期は入れたものを全部戻してしまうくらい嘔吐が強いです。

    吐いてしまうときは無理に食べさせないこと。個人差がありますが1日~2日は少量の水分で生存できます。脱水を心配して水分補給をする方が多いですが嘔吐すると逆効果です。嘔吐が弱まってから水分をとるようにしましょう。水分をとりたがる時はスプーン1杯程度でしのぎます。

    吐き気が収まってからは、おかゆなど消化の良いものを食べさせてあげてください。水分は出来るならイオン飲料をお勧めします。下痢や嘔吐がひどいと、それだけ脱水症状も引き起こしやすくなっているはずです。

    3ノロウイルス感染時のお風呂

    ちゃんと体を洗っていれば湯船の使用も大丈夫だということでしたが、私達はきちんと症状が治まるまでは湯船には浸からず、お風呂上りのバスタオルも別々にし、お風呂掃除も塩素系洗剤で徹底的にしました。

    4可能なら部屋を隔離

    家族の中で誰かが発症したとき、トイレが複数あるならノロウイルスにかかった人だけ別に、つばがとぶ食事を近くでとらない、休む部屋を別にするなど隔離をすることで、物理的な距離を作ると感染は下がります

    同居しているご家族がいらっしゃる方は寂しいかもしれませんが愛する家族に被害者を出さないためにも、ノロウイルスに対する対策をし過ぎるということはありません。小さいお子さんがいらっしゃる場合は、次亜塩素酸の消毒を徹底しましょう。

    どれくらいの休養が必要?

    ノロウイルスは発症して2~3日で症状が治まります。そのためもう元気になったから大丈夫と油断してしまいがちですが、まだ体内にはノロウイルスがいます。体内のノロウイルスは症状が回復してくると段々と感染力も弱くなり、1週間ほどで他人に移すことはなくなるようになるとされています。

    しかし国立感染症研究所では、回復しても1週間から1ヶ月は便中にウイルスが排泄されるとしています。特にオムツをしている乳幼児の場合、公共の場所でのおむつ交換は感染源としてリスクの高いものとなります。下痢をしている間はまだノロウイルスの感染力が強いと考え、便がまだ柔らかいうちは無理な外出は控えましょう。

    また症状が治まった後も1ヶ月を目安に、トイレの後や食事の準備の際には手の消毒を徹底することをお勧めします。

    我が家のノロウイルス奮闘記

    1赤ちゃん、オムツ交換は感染リスク高!マスク&ビニール手袋着用で!

    母乳を飲んでいる間は免疫力が高いと一般に言われていますが、完全母乳の3ヶ月の赤ちゃんでも感染します。体が小さい赤ちゃんにとっては初期症状も辛いものです。脱水症状がひどくなると命に関わることもあるため、入院することも珍しくありません。

    脱水症状を防ぐための水分補給は嘔吐後の30分~1時間は、胃腸を休めるため避けてください。その後小さじなどで少しずつ回数を多めにあげることがポイントですが、水分も受け付けず嘔吐を繰り返す場合は医師に相談しましょう。

    下痢をした便から感染することも多いので、オムツ換えの時にはマスクとビニール手袋着用をお勧めします。下痢だとオムツかぶれもしやすく、お風呂には入れてあげたいですよね。お風呂に入れる時もマスクを着用し、ベビーバスの使用をお勧めします。そして使った後は次亜塩素酸水で消毒すれば感染を予防できますよ。

    2幼児の症状事例 下痢だけで気づかないことも

    年齢が低い場合ノロウイルスにかかったら嘔吐が多いといわれていますが、うちの息子(2歳)の場合は嘔吐は全くなく、下痢症状だけでした。しかも最初は少しゆるいかな、程度だったものが見事に「お腹がピーピー」状態になりました。

    家族で症状が出たのはこの時点でたった一人だけ、しかもちょっと食欲がない以外はいつもと変わらず元気に遊びまわっていたのでノロウイルスに感染しているとは思いませんでした。

    思い返せばこの期間、息子は異常に喉が渇いたと水分を欲しがっていました。この時点でもっと息子の変化に敏感になっているべきだった、と反省しています。幼児の場合、症状があまり重くない場合は気づきにくいかもしれません。

    3子供の症状事例 いきなり嘔吐する

    息子の下痢が4日くらい続き回復してきたと思ったら、今度は娘(6歳)がいきなり寝ている時に嘔吐しました。

    子供の場合、お腹がちくちくするような痛みを訴えてくることも多いです。「これは何か変だ」と気づいた時にはすでに時遅し、私も魔の手にかかっていたのでした。

    夜中に救急で病院に駆け込み、待っている間も嘔吐が止まらず、座っているだけでもしんどいのにトイレまでの数メートルが異様に長く感じました。もちろん、検査結果は紛れもないノロウイルスでした。

    4大人の症状事例 子供より短期集中型

    大人の場合下痢だけか嘔吐だけという場合が多く、子供よりも短期集中型で襲ってくるのが一般的らしいです。「らしい」というのは私が家族の中で一番症状が重く、一番長期戦いを挑まれた人物だったからです。

    それは何の前触れもなく、夕食も普通に食べてくつろいでいる時に突然やってきました。 上からも下からも大洪水で、その名の通りトイレの住人と化したのです。嘔吐と下痢を繰り返すこと3時間、鏡で見た私の顔はこの世のものとは思えない血相をしていました。

    やっと病院までの道のりに耐えられるかも、と着いた病院でも座っているのもしんどい状態。点滴の後、少し元気になった娘とは反対に私は相変わらずでした。春先で暖かくなってきたというのに、寒気が続くため布団を何枚もかけていたのを覚えています。

    結局丸3日間食事も出来ず寝たきりで、4キロ減りました。とにかく病院からの指示通り水分補給はこまめに取り、安静にすることを心がけました。

    5お年寄りの注意点

    お年寄りの方も赤ちゃんと同様、体力がないのでこまめな水分補給と、早めに病院を受診することをお勧めします。

    まとめ

    ノロウイルスの怖さ、少しでも分かって頂けましたでしょうか?よく子供を産むのは鼻からスイカを出すくらい辛い、とか言いますよね。私は出産を2回経験していますが、はるかにノロウイルスの方が辛かったです。

    テレビのニュースなどを見ても自分が実際にノロウイルスに感染するまでは、私もどこか他人事でした。でもノロウイルスの脅威は誰にでもやってきます。予防接種も効果的な薬も、そして1度なったからならないなんて保障もないやっかいなウイルスです。

    まずは日頃から外出先から帰ってきたら、トイレの後、そして食べ物に触る前は手洗いを徹底的にするよう心がけましょう。そして万が一かかってしまった場合、症状が落ち着いたとしてもあなたが二次感染を広める「感染源」とならないために充分気をつけましょう。